加藤元浩『Q.E.D. - 証明終了 - 』21巻(講談社月刊少年マガジンコミックス刊)
Q.E.D.―証明終了 (21) (講談社コミックス―Monthly shonen magazine comics (KCGM993)) 加藤 元浩 講談社 2005-06-17 by G-Tools |
“火サス刑事”登場!!!
舞台は小京都・金沢……。
狙われた美人女優を助けるため、芭蕉の句に秘められた暗号を解読し、密室トリックも見破る。
もちろん温泉とグルメと断崖絶壁が盛りだくさん……な事件を夢見る1人の刑事。
人は彼をこう呼ぶ……“火サス刑事”と!!
読了。今年33冊目(小説2、漫画31、その他0)。あ、一ヶ月ぶりか。
今巻では冬の山荘ものをモチーフにした「接がれた紐」と二時間ドラマをモチーフにした「狙われた美人女優、(以下略)」の二本立て。
前者の「接がれた紐」では、雪の山荘に閉じこめられた燈馬たちの前で繰り広げられる密室劇。密室劇というわけで「誰がそれを行ったか?」「なぜ犯行は行われたか?」を同時に問うフーダニットものとなっているわけです。このシリーズにストイックさを求める方には楽しんでいただけると思います。しかしながら、地味に事件が進行していくので、これぞ、と言ったエキセントリックさはありません。とにかく淡々と物語が進行していくので、見落としに注意が必要。
後者の「(タイトル略)」*1では二時間ドラマ好きの笠山杉道=火サス刑事を中心に繰り広げられる珍騒動。事件の構造は至ってシンプルなのですが、火サス刑事の行動に事件も読者も翻弄されます。こんがらがった……というよりこんがらがせられた事件の謎を解くのはもちろん燈馬くんの役割。さて、刑事の行動に惑わせられずに事件をすっきりまとめることが出来ますか?……意外なところに伏線が張ってあって、結構甘く見ていた僕は「うそ、これだけじゃなかったの?」とびっくり。フーダニットでもハウダニットでもないですし……何ミステリに分類されるんでしょうね(笑)。……うーん、やっぱりユーモアミステリになるのか。事件としてはそう難しくないのですが、やっぱり最初の「接がれた紐」と比べると面白く感じるのは、「接がれた紐」の方が犯人の独白でいきなり終わっているのに対し、こちらの方がすっきり落ちがついているからかなぁ。エンドロールは出ませんが、大変楽しませていただきました。面白かったです。