宮下英樹『センゴク』5・6巻(講談社ヤングマガジンコミックス)

4063613453センゴク 5 (ヤングマガジンコミックス)
宮下 英樹
講談社 2005-06-06

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4063613739センゴク 6 (ヤングマガジンコミックス)
宮下 英樹
講談社 2005-09-06

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 読了。今年39冊(小説4、漫画35、その他0)。前巻の部分書いてなかったので書いてみる。5巻では「姉川合戦編」、6巻では「比叡山焼き討ち編」の前半を描いている。


 信長と手を切り、真っ向から対抗する浅井長政。浅井軍の先駆け大将・山崎新平*1の立てた『母喰鳥(ふくろう)の計』が姉川を舞台に始まろうとしていた。その戦法は、戦国従来の戦法とは全く異なるものだった。通説の矛盾を指摘し、新たな説を生み出した部分は慧眼であるし、その辺は丁度今週でている『週刊 ビジュアル日本の合戦』(これも講談社刊)の『姉川の戦い』編と読み比べていただくといいだろう。また、『史実に忠実に』とあるが、Wikipedia等を見ると『木下秀長はこの時点では「秀長」を名乗っていない』等、厳密に言えば若干片手落ちの部分が見られるのも残念だ*2


 しかしながら、それを上回る迫力とスケールが描かれており、上手くハッタリの効いた作品なのかなぁ、と思います。センゴクが弟分の死を目の当たりにし、それを乗り越えていく様は見ていて泣けてきますし、同時にセンゴクと蝶姫*3恋物語も裏で進行していき、6巻の大半はこれに割かれている。


 そして6巻で描かれる『女郎蜘蛛の計』はやっぱり「ずりー!」と言わざるをえないのです。ああ、先が気になりますよー。


*1:ちなみにこの人物、ググって見たけどそれこそ「仙石家譜」の記述しか見つからない。従って、山崎が合戦における重要人物であるというのは、本作における脚色である可能性ある(も、というのは仙石家譜における記述が「秀久が武功を上げたこと」を示すものであったというだけであって、実際山崎新平が浅井軍においてどのような位置づけにあったかまでは分からないと言うこと)。詳しいことは分からないけど、実在の人物であったのは確かのようです。

*2:ついでに言えば、信長が『魔王』と異名を取るゆえんは『比叡山を焼き討ちしたから』だと言われている。つまり、順番が逆なのだ。

*3ちなみにこのままのストーリーで行くと、この人はある実在の人物に該当することになるが、ネタバレになる可能性があるのであえて伏せる。気になるひとはWikipedia斎藤道三の稿を調べれば、それ相応の答えに行き着くだろう。……と思ったんですが、↓でご指摘を受けましたので取り下げ。2007/03/20追記。