東野圭吾『探偵ガリレオ』(文春文庫)

4167110075探偵ガリレオ (文春文庫)
東野 圭吾
文藝春秋 2002-02-10

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今年19冊目(小説1、漫画18、その他0)。気がつくと今年の小説読み始め(遅)。

帝都大理工学部物理学科助教授・湯川学が友人の警視庁捜査一課刑事・草薙俊平と説明のつかない難事件に挑む『物理トリック』ミステリーの第一弾*1


僕は当初『KYO』みたいなコンビが謎を解くうちに別の……という感じでストーリィが進展していくのかな、と思いましたがそうではなく、端正な短編連作でした。

4091228372Kyo (少年サンデーコミックススペシャル)
皆川 亮二
小学館 1996-11

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ただ、最初はかなり読みにくく思いましたが、二話以降で湯川のキャラを掴んでからは結構するすると読めたり。最初に解説を読んだのが大きかったかな*2。湯川・草薙の名コンビが謎を解くというオーソドックスな本格ミステリのスタイルと『がちがちの物理トリック』の要素が上手く調和して、いろんな意味で楽しい物語となりました。同時に、湯川先生自体は余り長編向きのキャラクタではないかな、と思ってみたり。瞬く間に真相を看破してしまうので、僕たちには推理しようにも何にも思いつかないのだ。一番はこのトリックを考える犯人がすごいのでしょうが……(それを見破る湯川先生も考える東野さんもすごいけど)。すごい、とか言うよりは『へぇ~』が思わず連続してしまう作品集でした。気がつけばこれが初東野なんですよね。気軽に読める、というライトな感覚と後味の良さ(悪いのもあるけど)が素敵だな、と思いました。大変面白かったです。

*1:第二弾に『予知夢』がある。

*2:解説は佐野史郎氏。湯川のモデルでもある(らしい)。