西が蜂、東には虻

 熱くて寒い月曜日。てか、温度変化に僕の体がついていってないよ! とか言ってみる。いや、冗談抜きで風邪が治らないんだってば。長期戦だなぁ。秘密企画……というよりは、小説……というよりは脚本を少し。とは言っても、昔書いた脚本の手直しなんですが。具体的に言うと、今まで名無しだったキャラに名前が付きました。これでさらにとんでもない方向に行くはず。……さすがにストーリーまでは変えませんけどね(笑)。エンジンがかかったので、あとはノリと勢いだけで一気に書き上がる……はず(ちょっと待てよオイ)。


 アニメ映画「ユンカース・カム・ヒア」を見ました。

B00005RUSJユンカース・カム・ヒア [DVD]
木根尚登
バンダイビジュアル 2001-12-21

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 原作はTMN木根尚登さん同名作*1。監督は「セーラームーン」「おジャ魔女無印」「魔法使いTai!」「カレイドスター」を手がけ、最近では「ケロロ軍曹」「ふたご姫」を手がける佐藤順一さんという豪華ラインナップ。

 小学六年生の女の子・野沢ひろみの飼っているシュナイツァー犬・ユンカースは人間語を理解し、実際にしゃべることが出来る。もちろんこれはひろみとユンカースだけの秘密だ。ひろみの両親は毎日忙しく家に帰ることも出来ず、居候の圭介に淡い恋心を抱く日々。両親が少しずつすれ違いを始め、圭介自身にも恋人の存在が発覚し、ひろみの心は大いに揺れ続けていた。そんな中、ユンカースはひろみに語りかけた――「僕は三回だけ、奇跡を起こすことが出来るんだよ」、と。

 いやー、おもしろい。どろどろぐちょぐちょどっかんどっかんの派手なアクションは全くないんだけど(いや、あったらむしろ困るが)、ストーリーとしては真っ向勝負の王道。しかし一枚岩では決して終わらず、思春期特有のほろ苦さとか、大人びようとしている子どもの存在とか、そういった等身大の目線から物語が描かれているのだ。ジブリ作品……といっても「トトロ」「魔女宅」などのほのぼの路線を好む方にオススメしたい逸品です。

 銭形平次を楽しむ犬、十二歳年上の相手と結婚しようとする姉をもつ同級生、小六になっても相手にちょっかいを出している子どもじみた男子勢……なんとなく、「いなそうでいそう」という現実感と、実際に経験することはあまりないであろう「家族の崩壊」「年上の相手への恋」などのファンタジーなイメージが上手くブレンドされ、そこにさらにユンカース自身が起こす奇跡というスパイスが見事に調和しているような気がしました。ユンカースの奇跡はあくまでも物語性を維持するために必要な一つのアイテムであって、それそのものに主眼が置かれているわけでは決してないと思う。雨降って地固まる、とでもいうんでしょうかね。瓦解と修復の物語は、一旦壊れてしまっても、前よりもかなり強度をもって修復されるわけです。その修復の課程に思わず感動してしまうこと請け合いです。ぜひ一度ご覧になることをオススメします。


 にしても、これを見たきっかけは月刊滋養ちほちほさんが日記中で大絶賛していたというのがあるんですが(僕の場合、小説を読んだり映像を見たりするのは「誰かが絶賛していたから」というのが大きな理由の一つだったりします)。とにかく、この作品の存在を教えてくれたちほちほさんに感謝を。大変面白かったです。

*1:ちなみにストーリーで共通しているのは主人(?)公『ユンカース』の設定のみ。