ゼロアカがこの先生きのこるには
ゼロアカ道場第五関門みた土曜日。昨日、丁度ニコニコ動画で『東浩紀のゼロアカ道場』第五関門ウエブ中継をやっていたので、アリスのネタを練りつつ、ながら見してみた(締め切り再来週なのに……)。ちなみに第四関門については下の書籍に詳しい。
東浩紀のゼロアカ道場 伝説の「文学フリマ」決戦 (講談社BOX) 講談社BOX 講談社 2009-03-03 by G-Tools |
僕も第四関門の現場にはお邪魔していたのですが、昨日のプレゼンを見ていて、何故か文フリの三島由紀夫パロディを超えるものは見えなかった気がするし、それを超えるぐらいの気合いがないといけないんじゃないかなぁ、と言う気がしたので。
ちなみに、結果はゼロアカ第五回関門・批評 - 類似性研究所に掲載されていたので、これをまとめてみる。
結果 | 氏名(敬称略) | 書類 | 一次 | 二次 | 三次 | 四次 |
通過(東枠) | 村上裕一 | A' | B+ | B+ | C | 2位 |
通過(審査員枠・会場枠) | 廣田周作*1 | B+ | A | B+ | B | 1位 |
通過(東枠繰上) | 坂上秋成 | ─ | ─ | ─ | ─ | 4位 |
落選 | 三ツ野陽介 | A | A | A | D | 1位 |
落選 | 峰尾俊彦 | A | A | C | B | 2位 |
落選 | 雑賀 壱 | B+ | A | B+ | A | 3位 |
落選 | 筑井真奈 | A | A | A | C | 3位 |
落選 | 斎藤ミツ | A | B- | C | C | 4位 |
退場処分 | 藤田直哉 | A | A | B+ | A | 8位 |
僕としては藤田直哉×夏目陽論争(佐藤氏に再反論する - the deconstruKction of right及びゆっくりタコグルメの手下になっていってね! - ソドム、ソドム!を参照のこと)あたりから追って見始めていたのですが、今回の口頭試問に当たっては、僕自身は誰のプレゼン動画も見ずに触れ始めてみた。
正直なところ、今回の結果は消去法という感じがして、積極的に誰かを選んだわけでもないように思えた。峰尾さんは明らかにしゃべりすぎだし(MAD! MAD!と繰り返してその先が見えないような気がした)、雑賀さんは逆にしゃべらなすぎたと思う。筑井さん、斎藤さん、三ツ野さんはそれぞれ自分の主張をしたかったのだろうが、その辺は雰囲気に飲まれてしまったのかなぁ、と言う気がしてならなかったのが残念なところ。退場処分の藤田さんにおいては、早く新潮あたりに引き取って貰った方がいいように思います(笑)*2。
だからといって、今回通過したメンバーの著書を積極的に読みたいか?……と言われると、彼らにおいてもその先が見えないような気がしてならない。ぶっちゃけてしまえば、彼らの口頭試問で何を言っていたを僕自身全く印象に残らず、むしろニコニコのコメントを追いかけている方がおもしろかったんだもの。まぁこれは藤田的な、インパクト重視と言ってしまえばそれまでかもしれないんですけれども。……じゃあ語るなよ、と言われそうですが、それでも語りたくなってしまった理由を述べてみる。
今回の最終合格者には1万部での単著デビューが認められている。僕は以前ゼロアカ道場をウルトラクイズに例えたが、ウルトラクイズとゼロアカ道場の最大の違いは、最終合格は決してゴールではないということだ。例えデビューをここで飾ったとしても、2009年内すら生き残れなければ、ゼロアカ道場そのものが「一年をかけた茶番」と言うことになってしまうし、そんなことは編集チームが許さないはずだ。だからこそ、2020年まで名前の残るような批評家が発見されなければならないのだが、今回の口頭試問を見ている限りは、果たして彼らが10年先まで書き続けていられるのだろうか?……という疑問すら沸いてくる。
1万部というコトは、僕みたいな本はあまり読まない層にまで言葉を届ける必要がある。それが何処まで可能なのか? というのは神のみぞ知るところだが、映画一回分の金を出させるぐらいの、興味の引き方が必要になってくるのだろう。その意味では、大衆迎合するのが近道ではあるのだが、それでは10年後生き残れないであろうコトははっきりしている。
印象論で申し訳ないが、僕は彼らのなそうとしていることがあまり理解できなかったし、それがベストセラーを導けるかというのには疑問符を持たざるを得なかった。『ゼロアカ』という言葉が、彼らにとって黒歴史にならなければいいのだが……という気さえしてならない。
最後に、ニコニコ中継内で名無しの閲覧者が投稿した引用文を貼っておきます(たしかどこかにあったと思ったんだけど、思い出せないな……)。
何をブレイクしてんだって。
見つかっちゃったな……っていう感じが。
ブレイクするっていうのはバカに見つかるってことなんですよ。
峰尾さんの言葉を借りるなら、普段批評を読まない「連中」に対してどうアプローチするか。それは批評家としての寿命を縮める可能性であることも考えながら、皆さんには論壇での活動を期待したいと思っております。